021: お手入れの方法がわからない

尺八のお手入れに関して、いろいろききますが、どれがよいのかわかりません。例えば、油を塗るとしたら、生のクルミをつぶすのと、楽器用に精製されたオリーブ油と、どちらがよいですか。(神奈川県・Wさん・20才女性)

尺八のお手入れに関して、いろいろな人がいろいろなことを言いますが、あなたの判断力で、理にかなっていると納得できたものを、実行してください。

お手入れの影響を受けるのは、他ならぬあなたの所有している楽器です。

以下、尺八のお手入れに関する、筆者の意見です。

 

まず、露切りは、必ず通してください。

露切りを通さないと、どうなるか。尺八の内部には漆が塗られていますが、漆が水分と結合して、はがれます。尺八は内径が命、露切りを通さないと、楽器として使いものにならなくなります。

吹いたら通す、習慣にしてください。

 

次に、油を塗りましょう。

油を塗る目的は、乾燥による割れの防止です。

(急激な温度差によってもすぐ割れるので、寒い屋外から暖かい室内へ入ったときなど、いきなり吹き始めてはいけません)

(物理的衝撃には、案外強いと思います。足で踏んでも、100kg未満なら大丈夫なんじゃないかな、たぶんなんとなく)

尺八は乾燥すると、案外簡単にパキンとひびが入ります。乾燥させないために、竹の材質に比較的近い、クルミ油などを塗ります。

注意点は、成分に注意してください。他のものが混ぜてあると、何かしら悪影響が発生する可能性があります。お酒のおつまみ用に塩のふってある殻のとれたクルミより、殻のついたままのクルミの方を、選んでください。

油を塗る頻度は、週一回以上とか、月に一回程度とか、別に根拠はありません。塗るべきだ、と思ったら、塗りましょう。

 

しかし、重要なのは、例えば尺八が割れたとき、どこか傷んだときに、自分は十分な対策を施してきた、と自信を持っていえるようにしておく、ということです。

結局、割れるときは割れます。どんなに完璧なお手入れを絶え間なく継続したとしても、その可能性はゼロになりません。

しかし万が一楽器が破損したとき、ああ、こうしておけばもしかしたら違う結果になったのでは、と後悔する余地は、努力次第でゼロにできます。

これは気休めかもしれませんが、そんなことになる可能性を少しでも減らすために、愛情をもってお手入れを行ってください。

 

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