031: 音量を調節できない

音量をコントロールする方法が、わかりません。

尺八の音量コントロールについて、今回から数回に分けてお話します。

さて、まず、

「尺八の音量は、強く吹くと大きくなり、弱く吹くと小さくなる。」

これって、合ってると思います?

 

答えは、半分正解で、半分間違い。

一言に息の「強弱」といっても、息の「量(多い・少ない)」と、息の「速度(速い・遅い)」という2つの要素に分解できます。

水流で例えるなら、多・速は怒とうの激流、多・遅は大河のたゆたう流れ、少・速は突然のテッポウ水、少・遅は小魚が泳ぐ小川です。

つまり、息の「強弱」は、強い、弱いだけではなく、実に4種類に細分化できるのです。

音量を決定するのは、息の「量」の多・少です。「速度」の速・遅は主に、音程の高低に影響を与えます。

(補足:尺八は管内の空気柱の振動により音が出ますが、振動のゆれの大きさ(振幅)を決定するのは息の量であり、息の速さは振動の周期(波長)を決定します)

(補足の補足:振幅と波長を地震で例えると、グラグラゆれるゆれの距離的な大きさを表すのが振幅、グーラーグーラーゆれるかグラグラグラグラゆれるかの、時間的な間隔を表すのが波長)

 

音量を決定するのは息の「量」ですから、より少ない量の息で吹けば、音量は小さくなります。このとき、息の「速度」は音量決定に対して無関係なので、同じ速度を維持していることが求められます。

これが、全てです。

息の「量」を増やせば音は大きくなるし、減らせば音は小さくなります。

但し、尺八の演奏に限った話をすれば、尺八の音は、その構造上基本が「フォルテ(強い)」であり、そこから更に強い音を目指すのは限界があります。

よって、実際の演奏上の音量コントロールを考えるとき、いかに強く大きな音を出すかを考えるよりは、弱く小さな音を意識的に用いて相対的な強弱表現を狙っていくのが現実的です。

いずれにせよ、まず音量の大小について意識して、音程の上下や音色に配慮しつつそれを自在に使いこなせるようになるまでに長い修練が必要となります。

 

 

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