弱く吹こうとすると、音程が下がってしまいます。(東京都・Yさん・32才男性)
音量コントロールの実践編第一回、悩みランキングの常に上位に位置する「音程の維持」についてです。
ポイントは、息の「速度」です。
「弱く」吹けば音量は小さくなりますが、「弱く」とは、息の量を少なくすることにより実現されるべきであり、このとき振動の波長を決定する「息の速度」を遅くしてしまうと、音程が下がってしまいます。
息の「速度」を保ちつつ、息の「量」を減らすことで音量を絞ることができれば、音程は下がりません。
音程が下がる、という人は、弱く吹こうとして息の速度を落としてしまっています。
息の量だけを減らして、息の速度を保ってください。
と、以上これが正攻法。
これができるように日々頑張ってほしいのですが、これは至難の業です。
そこで、とっておきの小手先テクニックを2つほどご紹介します。
1.息の芯を細くする
唄口に当てる息には、中心に芯があります。
中心に硬い芯があり、その周囲をぼやけた息がくるんでいます。
この芯は、強く吹くと太く長くなり、弱く吹くと細く短くなります。
ここで、唇の緊張をある程度解き、鋭さのない、ぼやーっとした息を出すと、この芯が細くなります。このとき重要なのは、息の量、速度はそのままです。
つまり、同じ強さで、ぼやーっとした息で吹くのです。(音色、音質もこれに伴ってぼやーっという感じのものになります)
唄口に当たった芯の部分のみが音となるので、結果として音量は小さくなります。
2.アゴ当たりの横を浮かせる
メリ・カリの原理を応用します。
尺八は、歌口をふさぐアゴの面積により、音程が上下します。アゴを引くとふさぐ面積が多くなり音程は下がり(メリ)、アゴを突き出すとふさぐ面積が少なくなって音程は上がります(カリ)。
音程が下がるのに伴って歌口をふさぐ面積を少なくしてやれば、両者が相殺され音程は変わらないことになります。このとき、普通にアゴを突き出して吹いてしまうと距離が離れることで息が拡散し、1.のように息の芯の命中率が下がることになり、あまりよろしくありません。
そこで、アゴ当たりの横を浮かせます。上でも横でも、結果として歌口をふさぐ面積が少なくなれば音程は上がります。楽器との距離は同じに維持されるので息が拡散することもありません。これに、何も考えずに息を弱くすることで音程が下がるのをぶつけてやればいいのです。
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