露切りを通すのをつい忘れてしまいます。必ず通さなければいけないものでしょうか。
答えは、必ず通してください。
露切り、露ふき、露とおしなどいろいろな呼び方がありますが、ここでは露切りに統一します。
窓ガラスを拭くときに、ハァーと息を吹きかけるとガラスが白く濁ります。これと同じ現象が、吹いていると尺八の管内で起きます。
これを拭き取るのが、露切りです。露切りは尺八管内の水滴を拭き取る道具です。
拭き取らないと、どうなるかというと、水分は尺八内壁の漆と結合して、漆を痛めます。
正常な状態の尺八内壁は、磨いたようにつるつるです。鏡のような状態です。尺八の内壁は漆工芸品といっても過言ではないものですから、表面も実に綺麗なものです。
これが、露切りを通さないまま常用すると、でこぼこ、ざらざらの状態になります。中をのぞけば一目でわかります。
左は内壁の漆が傷んで、でこぼこ、ざらざらの状態の尺八。右は正常な尺八。内壁は磨いたようにつるつるな状態。
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尺八の内壁に空気の粒子がぶつかって音が出るのですから、内壁の状態が音に与える影響は少なくないことが容易に想像できます。
筆者持論ですが、楽器の扱いと実力は図らずも比例します。
露切りは、必ず通すようにしてください。
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Comments
“046: 露切りを通す必要性” への3件のフィードバック
はじめまして。露切りは大事なんですね。忘れないようにします。ところで、尺八って空気の粒子が内壁に当たって音がでるって本当ですか?
表現が曖昧に過ぎたようですが、記事の本文はなるべく投稿後に修正しないことにしているので、このままにしておきます。
内壁の形状が空気柱の粗密波振動に影響を及ぼすイメージを汲み取っていただければと思います。
露は竹と呼気との温度差で出来やすいので、その温度差をできるだけ少なくします。
冬季は特に竹が冷えていますので、演奏前に人肌程度に暖ためるとよいでしょう。
私の箏曲の師匠(秋田)は冬は、懐に入れていました。竹が冷えると音程も狂うとも言っていました。