長い時間吹きつづけると、音が鳴らなくなります。どうしてですか。
尺八は、唇の周囲の筋肉の緊張により、最適な息を吐き出す唇の形を形成させ、それを維持することで演奏を継続します。
これが疲れてくると、筋肉の緊張のバランスが崩れ、唇の形が最適な形ではなくなり、音が鳴らなくなります。
これを克服する方法は、二つあります。
まず一つは、唇の周囲の筋肉の緊張を少し和らげてみましょう。唇の両端に力を入れ過ぎの可能性があります。そんなに力を入れなくても、音は鳴るかもしれません。
しかしこれはつまり、今まで積み上げてきた吹き方の根幹を崩す行為です。慎重に、かつ腹を決めて、試行錯誤を進めてください。
そしてもう一つは、強く吹くトレーニングにより、筋肉を鍛えましょう。といっても鍛えるのは唇の周囲の筋肉ではなく、呼吸のための筋肉です。呼吸のための筋肉を鍛えることにより、唇の周囲の筋肉への負担を軽減させるのが狙いです。
強く吹くトレーニングの例を、以下示します。
巨大な風船に力いっぱい息を吹き込む感じです。音を出さなくても、楽器を持たなくても構いません。上半身の腕以外の筋肉を総動員して思い切り息を吸い込み、最後まで勢いよく吐き出します。これを数回、繰り返します。
ポイントは、鼻でこの呼吸を行ってください。鼻からのみ吸うことにより、呼吸のための筋肉はより活発に働きます。(但し、演奏中は、鼻で慣れていない人は口からのみ吸うことをお薦めしておきます)
呼吸のための筋肉が未発達な人なら、この数回のトレーニングで、へばってしまいます。
呼吸のための筋肉がある程度発達している人なら、演奏前にこの数回のトレーニングを行うことで、いきなり効果が期待できます。
Copyright(c) 2004 OFFICE RINDO. All Rights Reserved.
Comments
“012: 長時間吹き続けると、音が鳴らなくなる” への2件のフィードバック
今日は、私はMSNから気サイトにたどりつきました。約10年から趣味
として、尺八を楽しんでいますが、未だに先生から「音が小さい」と指導が
されます。
以前から音の大小は、肺活量のせいだと密かに思っていましたが、関係の
筋肉を鍛える事により、改善される事を教えていただきました。
これからも、頑張って精進していきます。有難うご
ざいました。
肺活量に関して、もちろん、たくさんあればそれに越したことはありませんが、音量に対しては決定的な影響力を持ちません。
大きな音が出せない原因としては、楽器に問題がなければ、「尺八は口だけで吹くもの」と勘違いしていることが考えられます。
大きな音を出している人は全員、「みぞおち」の下の部分を、これでもかというくらいに酷使して、やっと演奏を行っています。演奏中、息を吸った拍子にズボンのベルトを切ってしまうこともあるくらいです。筋力のあるなしで、演奏内容は格段に違ってくるのです。