速い指遣いが苦手です。特に送り指のスピードが、どうにもなりません。
尺八は、主に古典では、同じ音を連続して発音する場合、タンギングを用いません。「送り指」という手法を用います。
世間一般の管楽器奏者がタンギングの問題で悩むところを、尺八の場合は指に置き換えて悩むことになります。
例えば、ツツツツレと演奏するとき、第2孔を3回、または発音時に打てば4回打つことになります。
これを一定のスピード以上でやろうとすると、そんな速さで人間の指は動くようにできていません、という人が続出します。
2222と打てない原因は、以下の3通りが考えられます。
A. 演奏の速度があまりに速すぎる
B. 握力不足
C. 指関節の用法間違い
A.が原因の場合、テクニックとして第4孔の打ちを混ぜ込むという方法があります。
この場合、2222と打つのが無理であれば、2242、或いは2424と打ちます。
この替え指でかなりの困難が緩和されます。
(同様に、ロ(甲のみ)なら3、レ・チ・ヒ(都山ハ)・ハ(都山ピ)なら1を利用する)
(レ・チ・ヒ・ハの1打ちを、ルと呼ぶ)
これを利用すれば、糸方の高速スクイにもかなりの程度、対応が可能になります。
Bが原因の場合、握力のトレーニング実施が最も効果的です。
楽器演奏はスポーツ競技同様の過酷さを内包しています。
筋力の増強に関して今まで無視してきた人は、簡単なトレーニングでかなりの即効性が期待できます。お風呂の湯船の中でぐーぱー50回から、始めましょう。
Cが原因の場合とは、指の第二関節を支点として、指を曲げたり、伸ばしたりしようとしている場合です。
人間の指は、そんなに速く曲げ伸ばしできるようにできていません。
第一関節(指先から数えて3番目の、指のつけ根の関節)を支点として、孔の開閉を行ってください。この間、その他の2つの関節は、やや曲げた状態を維持しています。
表現を変えてみます。孔をふさいでいる指は、孔を開けるとき、伸ばしてはいけません。指のつけ根からふりこのようにパカッと開けます。
この点、できる人は習わなくてもできるようになっているのですが、勘違いして凝り固まってしまった人は、少々の訓練で矯正する必要があります。
矯正が成功した場合、劇的な効果が期待できます。
動かそうと思った通りに動く指を、手に入れてください。
関節に関して、更に欲を云えば、4番目の指の関節が手首であり、5番目の関節がヒジであることを意識できると、運指の自在性が格段に向上します。
また、番外として、どうしてもこれは無理だ!と思ったら、指を一つ抜いてしまうのも裏技としてアリです。
裏拍を抜きます。ツツツツレであればツーツツレ、もしくはツーツーレにしても、音の流れは変わりません。
但し一度これを覚えてしまうと、何でもこれになってしまいがちなので、最後の手段としておいてください。
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Comments
“022: 指が動かない” への1件のコメント
こんにちは、参考にさせて頂いております。
この件、握力不足などではなく、むしろ力の入り過ぎではないでしょうか?
指をリラックスさせて、孔打ちはいかに力まずに軽やかに叩くかという
問題だと思います。握力を使わない運指を練習すべきと考えます。